仕事のBGMはチャンステーマ。同じ熱量の人と戦術を語れる、ビジター応援席という居場所

やすもちさんアイキャッチ

札幌在住のライター・やすもちさん。エスコンフィールドHOKKAIDOのビジター応援席に、いつも1人で足を運ぶ楽天ファンです。推し球団を見る目は完全に監督視点で、チャンテ(チャンステーマ)は全12球団を網羅、原稿を書くときのBGMまで応援歌。「勝ちを見るために球場へ行っている」と言い切るやすもちさんに、ビジター応援席の魅力を聞きました!

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みんなで観戦に行っても本心を出せなかった。1人で応援席に通うようになるまで

──やすもちさんが楽天ファンになったきっかけを教えてください!

野村監督が就任した2006年からですね。もともとヤクルトも1992年から応援していて、それも野村監督がいたからなんです。弱い戦力でも組織力や戦術で強者を倒していく姿に魅了されました。野村監督の本はほぼ全冊読んでいて、自分では勝手に信者だと思っているくらいです(笑)。

──チームよりも野村監督への思いの方が強そうですね(笑)。観戦はいつも1人で行くんですよね?

1人でしか行きません(笑)。家族や友人と行っていた時期もあるんですけど「ついていけない」という雰囲気を感じとりまして……。誰かと一緒だと気を遣って本心を出せないので、1人で行くようになりました。

──野球への情熱が相当ですね(笑)。初めて応援席で観戦したのはいつですか?

2015年のマツダスタジアムです。広島はカープ愛がものすごく強いので、ビジターファンだと肩身が狭いんですよ。でも、それが逆にビジターファン同士の結束を生むというか(笑)。そこで応援席の面白さに気づきました! その後、札幌に転勤となり、楽天の応援をするために札幌ドームのビジター応援席に通うようになりました。

同じ目線で戦術を語れる仲間が、ビジター応援席にいる

──ビジター応援席のいいところを教えてください!

僕と同じ熱量の人がたくさんいるので、戦術的な話ができるんです。それまで一緒に観ていた人たちは、だいたい「◯◯(選手名)すげー!」みたいな感じだったんですよ。でも僕は「この局面はバントだろう」とか「ここは相手が無警戒だから盗塁を仕掛けたいな」という話がしたくて。応援席だと、それができるんです。

──それは、けっこう野球好きな人とじゃないとできない会話ですね(笑)。

「今日ここを取ったら連勝の勢いに乗れるかも」とか「この先発同士なら勝機があるんじゃないか」とかも話します。あとは相性の話ですね。僕は日ハムの加藤が相手だと、エスコンで3勝0敗なんですよ。応援席でそういう話をすると、他の人も「僕はあの投手だと0勝2敗なんだよな」と返してきます(笑)。

──話がコアすぎて(笑)。初対面の方とそこまで話せるものなんですか?

できるんですよ! なんなら「自分と同じような視点で野球を観てる人って、なかなか周りにいないんですよね……」って言われたこともあります(笑)。

それに楽天のビジター応援席は、7割くらいが道外から来る人なんです。だから他の地域のファン事情も聞けますし「また来たんですね」と観戦仲間もできます。

やすもちさん
観戦した日のスコアボードを写真に撮るのは必須

チャンテは全12球団を網羅。現地で流れる初回先頭打者のテーマに間に合わせるのはマスト

──これほど情熱があるということは、観戦の日は早くから現地にいるんですか?

いえ、18時プレーボールなら17時40分です(笑)。スタメン発表はあまり見ないですし、ギリギリまで仕事をしていたいので。ただ、初回先頭打者のテーマにだけは絶対に間に合うように到着します。エスコンのナイターなら18時試合開始なのですが、過去に1回だけ遅刻したことがあり……。そのことは今でも悔やんでいます……。

──やすもちさんは応援歌が好きなんですよね(笑)。

応援歌とチャンテが大好きです! チャンテは全12球団を網羅してるくらいです。ライターの仕事をしているときも、チャンテを流しながら原稿を書いています(笑)。気持ちがハイになるんですよね!

──仕事のBGMがチャンテ(笑)。いちばん好きなチャンテはどれですか?

「戦いのとき」です。楽天は場面によってチャンステーマが決まっていて、これは終盤の一打同点、逆転、サヨナラのときにしか流れないんですよ。曲そのものも好きですけど、それ以上にシチュエーションが最高なんです。楽天以外だと、ロッテのチャンテも好きですね!

──どんどん出てきますね(笑)。他に好きなチャンテを教えてください!

「レッツゴーわっしょい」は楽天ファンに人気ですね。ファンの間では、相手の士気を下げる曲だと言われています(笑)。

あと、2013年に楽天が初優勝を決めたときに流れていた関東限定のチャンステーマが本当に好きだったんですけど、2018年に廃止されてしまって……。いまだに「なんでなくしたんだ」と思っています……。

メガホンを3本壊しました。勝敗がすべての「監督目線」

──現地に行くときの持ち物を教えてください!

丈夫なメガホンです!

──え、ジョウブ?(笑)

はい、前に感情が爆発して、3本くらい叩き壊したことがあるんです(笑)。だから、今は売っているなかでいちばん硬そうなものを選んでいます。

──どんな場面で壊れたんですか……?

全部、負けた試合ですね。僕が悔しいのは、抑えが打たれて負けることなんですよ。3点リードから逆転サヨナラ満塁ホームランを打たれる、みたいな。これでもだいぶ落ち着いたほうで、20代の頃は本当にメンタルを持っていかれて、野球を封印しようと思ったこともありました。

──つくづく入り込み方が激しいですね(笑)。推しの選手が活躍すれば、少しは報われませんか?

推しは鈴木大地と村林なんですけど、僕はチームの勝敗が気持ちの9割9分を占めるので……。いくら推しが活躍しても、負けたら意味がないんですよね。勝利を見るために球場へ行っているようなものなので!

──応援席でも戦術面について話すあたり、特定の選手というよりはチーム全体を見ていますね。

視点が完全に監督なんだと思います(笑)。勝った試合でも「リリーフをこう使って明日どうするんだ。3連投させられないじゃん」と考えてしまうので、素直に喜べないこともあるんですよ。

ただ、こだわりがひとつあって、相手チームの悪口は絶対に言わないようにしています。相手への敬意は持っていたいんです。自分のチームの選手には愛情を込めて厳しいことを言っちゃいますけどね(笑)。

やすもちさん

応援席は同じ熱量を持った仲間と出会える最高の場所

──これまでで忘れられない現地での試合を教えてください!

2024年6月21日の日ハム戦です。7回を終えて3対8。僕は大差をつけられたら帰る性格なので、あのときも帰ろうとしていました。

ただ、8回にフランコの満塁ホームラン、阿部のソロホームランで同点。9回には辰己のタイムリーで勝ち越したんです。7回の時点ではお通夜と怒りが充満したようなスタンドだったのに一気にひっくり返って「帰らなくてよかった」とみんな言っていました。

──それは最高の展開ですね!

それが、9回裏に味方のエラーが絡んで追いつかれて、結局引き分けなんですよ……。スタンドは大激怒でした。みんなの気持ちがジェットコースターになりすぎて、忘れられない試合です。

──それは悔しいですし、ファンもどっと疲れる試合ですね……。

ほんと疲れました……。僕は勝ったあとに応援席のみんなでその日の1番打者から9番打者までの応援歌などを歌う「1-9」の時間がいちばん幸せなんです。その試合もみんなで1-9ができると思っていたんですが……。

──あの時間は最高ですよね! これから応援席に行ってみたい人へアドバイスをお願いします!

初めて応援席に行く人はチャンテを覚えておくのがおすすめです。楽天は応援団の方に声をかけると歌詞カードをもらえます。何回か通うと応援団の方とも顔馴染みになって、さらに応援席での観戦が楽しくなりますよ! 僕は球場に着くと「今日もお願いします」って必ず挨拶に行くくらいになりました(笑)。

最初のハードルは高いかもしれません。でも、チームへの愛が強いほど同じ目線の仲間に出会えますし、応援席がより楽しくなるはずです。僕も5回目くらいで慣れました。それでチームが勝てば、もう最高です!

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