取材・文:ベースボール・コンパス編集部
写真:本人提供
「旅をするために仕事をしている」という、フリーランスWebデザイナーの長屋健斗さん。千葉ロッテマリーンズのファン歴は20年以上で、国内は14球場を制覇。さらに、メジャーリーグや韓国・KBOリーグの球場にも足を運んでいます。球場ごとの雰囲気の違いを感じるのが好きだという長屋さんに、日本と海外の違いなどについて聞きました!
2005年、マリンスタジアムで一気に野球にハマった
──長屋さんはロッテファンですよね! ファンになったきっかけは何だったんですか?
父がスポーツ全般好きな人で、当時日ハムが本拠地にしていた東京ドームに2、3回ほど連れて行ってもらったんですが、まったく興味が湧きませんでした。でも2005年、小学5年生のときに幕張に行ったついでに父とロッテの試合を観たら、そこで一気にハマりました。海の前にある球場の雰囲気とか、勢いのある応援とか、いろんな要素があったんだと思います。
──2005年のロッテといえば、ボビー・バレンタイン監督が31年ぶりの日本一に導いた年ですね!
そうです! まだ若手だった頃の福浦和也や西岡剛、今江敏晃が活躍して、渡辺俊介、小林宏之、清水直行とか2桁勝利のピッチャーが6人いました。学校では巨人ファンが多くて、最初は「ロッテって何?お菓子?」だったのが、友だちから「ロッテ、なんかすごいらしいじゃん!」と言われるようになるんです。
そしてレギュラーシーズン1位のソフトバンクをプレーオフで倒し、日本シリーズでは阪神に4連勝。弱小でテレビ中継もなかったロッテが、超有名球団の阪神を倒して優勝したんです! 感極まり、その瞬間は父と抱き合って泣きました。あの瞬間を観てしまったら、もう何があってもファンはやめられません。
韓国プロ野球では、日本以上に応援の熱を感じた
──今はフリーランスとして働きながら、よく旅にも出られていますよね。
旅をするために仕事をしているので(笑)。もちろん野球も今でも好きなので、旅の目的のひとつに野球が入ることはよくあります。これまで国内は12球団の本拠地に加えて札幌ドーム、ほっともっとフィールド神戸に行きましたし、海外は韓国プロ野球とメジャーリーグを観に行きました。
──めちゃくちゃいろんな球場に行ってますね! 韓国プロ野球を観に行ったときのことを聞かせてください!
野球好きの友人と2泊3日で韓国に行き、ソウルと仁川(インチョン)で観戦しました。目的は元DeNAのロマックですね。ベイスターズにいた頃は全然活躍しなかったのに、韓国に行ったら無双したので「ロマックを観に行こう!」って(笑)。実際、球場に行くとロマックのユニフォームを着ているファンが結構いたんですよ!
──ロマックって韓国の5年間で155本もホームラン打ってたんですね(笑)。韓国プロ野球の雰囲気はどうでしたか?
韓国のほうが日本よりも盛り上がりが激しいです。応援席が甲子園のアルプス席みたいな場所にあって、みんなが騒ぐように歌っていました。しかも、応援席には大学野球とか社会人野球の応援団みたいな雛壇があって、そこに応援団長とチアの人が立っているんです。応援団長は盛り上げるのがめちゃくちゃ上手で、すごく統率が取れていました。
──そんなに盛り上がるんですね! 日本みたいに応援歌は選手ごとにあるんですか?
ありました! ただ、日本みたいに歌詞にこだわった応援歌ではなく、シンプルな歌詞が多かったです。曲も有名なものを使っていたりするので、僕みたいな外国人でもその場で歌えちゃうんです。

──それは初めての観戦でも楽しめそうですね!
攻撃中は日本と同じように立ちますし、細長いバルーンを叩いて応援します。球場もけっこう埋まっていましたし、グルメだとチキンがおいしかったですね。初めてでも十分楽しめます! その後に一人でまた韓国に行ったときも、ソウルだけでなく、水原(スウォン)や釜山(プサン)へも観戦に行きました!
ドジャー・スタジアムで感じた、日本にはない「体験の設計」
──アメリカに行ったときの話も聞かせてください!
試合を観たのはロサンゼルスのドジャー・スタジアムとエンゼル・スタジアム、サンフランシスコのオラクル・パークです。球場ツアーだけならフィラデルフィアのシチズンズ・バンク・パークやトロントのロジャース・センターにも行きました。あと、ヤンキースタジアムでMLS(メジャーリーグサッカー)の試合を観るという貴重な経験もしています(笑)。

──サッカーですか!? メジャーの球場で一番感動したのはどこでしたか?
うわぁ、一番を選ぶのは難しいですね……。初めて行ったヤンキースタジアムもすごかったんですけど、体験まで含めるとドジャー・スタジアムですね。僕は大谷翔平が大好きなので、一番調子がいいときに観ておきたいと思ってロサンゼルスに行きました。その日はヒットこそ出なかったんですけど、ちょうどサンディエゴ・パドレス戦で松井裕樹との日本人対決が観られたんです。
あと、ドジャー・スタジアムってすぐ裏が山でアウトドア感がありますし、気候もいいので心地よく過ごせました。いたるところでみんながお酒を飲んだり、何か食べたりしている雰囲気が最高でしたね。
──日本との一番の違いはどこに感じましたか?
日本の球場って、野球の試合を観る場所、応援をしに行く場所という「野球を目的にする」感覚が強いなと思ったんです。でも、メジャーは試合前にご飯を食べることも含めて「球場に行くことが目的」の感覚なんですよね。
実際、メジャーの球場はグルメが充実していて、広いスペースでゆっくり食べられるんですよ。それに、食べながらでも野球が観られます。日本でもエスコンフィールドやマツダスタジアムみたいにコンコースからプレーが観られる球場が増えてますよね。まさにメジャーの球場がその仕様で、体験の設計がよくできているなと感じます。
球場で観るのは「グルメ&誰のユニを着ているか」
──いろんな球場に行ってきた長屋さんですが、現地に行くと思わず注目してしまう点はありますか?
どんなグルメがあるのかも見ますし、ファンのスタイルもめっちゃ見ます。ユニフォームを中心に着崩している女の子とか(笑)。あとはシンプルに、みんな誰のユニを着ているんだろうとか。
──確かに「意外とこの選手のユニ着てる人多いな」って思うことあります! いろんな球場を回ったなかで、好きな球場グルメを教えてください!
神宮球場名物の「ウインナーメガ盛」です! あとはエスコンフィールドのホットドッグもおいしかったですね。ちゃんと日本ハムの「シャウエッセン」を使っていて、さすがだなと思いました(笑)。
──確かに他社製品だったら……(笑)。グッズにこだわりはありますか?
グッズを買うとき、多くの人は推しの選手名が入ったものを買うと思うんです。でも、僕は名前なしのを買うときもあります。父から「特定の選手のを買って、その人が移籍したら悲しくないか」と言われたことがあって、僕はロッテを好きになった当初、李承燁(イ・スンヨプ)が好きだったんですけど、その年のオフに巨人へ移籍してめちゃくちゃ悲しくて……。タオルも選手名のものは買わず、ずっと使えるようにチーム名のものにしています(笑)。
そんな中、西川史礁のユニフォームを買ってしまいました。彼なら、しばらくいてくれそうなので(笑)。

──西川史礁はずっとロッテのスター選手であってほしいですね! 席はどのあたりで観ることが多いですか?
前までは外野席が多かったです。今でも応援は好きなんですけど、最近は内野でビールを飲みながらのんびり観ています。シンプルに体力が落ちたというのもありますけど(笑)。
醍醐味は、歴史的な記録の一部分を同じ空間で味わえる「ライブ感」
──これまでで一番忘れられない試合を教えてください!
2006年のマリンスタジアムで行われたオリックス戦です。当時オリックスにいた平野恵一がファウルフライを追った勢いでフェンスに頭から突っ込み、倒れ込んでしまいました。そのまま担架で運ばれたんですけど、そのときもボールを捕ったことをアピールして手を掲げていたんです。
周りはみんな「捕ったとか捕ってないとかいいから、お前は大丈夫なのか」という感じなんですよ。なのに本人は「捕った」という強い意志を示していて、とんでもない選手だなと思いました。「プロ野球選手のプレーを観た」という感じでしたね。
──ひとつのアウトのために、命がけでプレーしているんですね。
そのあと、ロッテの応援団が相手チームの選手なのに平野コールをしたんですよ。その光景にも感動しました。
──たとえ相手であっても選手へのリスペクトを忘れない姿って感動的ですよね。最後に、長屋さんが思う現地観戦の醍醐味を教えてください!
「ライブ感」ですね。野球って、これまでに何万試合と行われていて「この選手はこういう記録を達成しました」というのがあるじゃないですか。でも、将来の大記録は今この瞬間から始まるんですよ。それが結果になって、記録として積み重なっていく。その軌跡を同じ空間で味わえるライブ感がめちゃくちゃ好きですね!



コメント