「現役ドラフトの結果を見ても、どんな決まりで指名が進んだのかわからない……」
「毎年ニュースで見ているけど、どんな選手が対象になるんだっけ?」
現役ドラフトは、出場機会に恵まれない選手の移籍を活性化させるため、2022年に始まった制度です。
各球団は、移籍の候補となる選手をリストにして出し合います。リストに入れられない選手の条件や指名の順番には、細かい決まりがあるのが特徴です。
編集長 田中対象外の条件と指名の進み方を押さえれば、現役ドラフトがもっとおもしろくなります!
2026年の現役ドラフトは、12月9日(水)に開催されます。今年は対象選手の条件が一部変わり、昨オフから今年7月31日までに通常のトレード等で獲得した選手も、ほかの条件を満たせば候補にできるようになりました。
この記事では、対象選手の条件から指名順、2巡目の進め方、指名後の手続きまでを解説します。
さらに、2025年に変わった2巡目や移籍が決まるまでの流れ、移籍先で活躍した選手もまとめました。
- 2026年の開催日と、昨年から変わった対象選手の条件
- 現役ドラフトの対象外になる選手の条件
- 予備指名から始まる1巡目の指名順の決め方
- 2025年に変わった2巡目のルールと移籍が決まるまでの流れ
ぜひ仕組みを知って、毎年12月の現役ドラフトをもっと楽しんでください!


株式会社メイカヒット代表
- ベースボール・コンパス編集長
- 幼少期からジャイアンツファンだが、野球全体をこよなく愛している
- 週1回以上は東京ドーム中心に現地観戦し、1年間で12球場をまわることも
- 他にも、時間を見つけてはメジャーリーグや高校野球、大学野球も現地で見るほど野球に溺れている
現役ドラフトの基本ルールと仕組み
現役ドラフトは、12球団が自球団の選手をリストにして出し合い、ほかの球団のリストから選手を指名する移籍の制度です。
指名された選手は、指名した球団へ移ります。リストの出し方などには、細かい決まりがあります。
リストは2人以上
現役ドラフトで指名できるのは、各球団がリストに載せた選手だけです。
リストに載せる選手は、来季の契約保留選手名簿から選びます。球団が来季も契約する権利を持つ選手の名簿です。
その中から対象外の条件に当てはまらない選手を2人以上選び、対象選手リストとしてNPBへ提出します。
提出の期限は、契約保留選手名簿が公示される日の15時です。
対象外の条件は、次の「現役ドラフトの対象外になる選手」の表で確かめてください。
このとき、リストの中身は公表されません。開催後に発表されるのは指名された選手の情報だけで、指名されなかった選手の名前は出ません。
1人獲得・1人放出
1巡目では、12球団が他球団のリストから1人ずつ指名して獲得します。
自球団のリストからも必ず1人以上が他球団に指名されるので、どの球団でも選手の入れ替えが起きる仕組みです。
1巡目のあとには、2人目の獲得や放出が起こりうる2巡目があります。
2巡目の決まり方は、後述の「2025年に変わった現役ドラフトの2巡目」でチェックしてください。
現役ドラフトの対象外になる選手
契約保留選手名簿に載っていても、球団がどの選手でも候補にできるわけではありません。
2026年の発表では、対象外となる条件が9項目として示されています。
対象外になる選手と条件を、次の表にまとめました。
| 項目 | 対象外になる選手 |
|---|---|
| 外国人 | 野球協約で外国人選手とされる選手 |
| 契約年数 | 複数年契約を結んでいる選手 |
| 年俸 | 来季の年俸が5,000万円以上の選手(例外あり) |
| FA権の行使 | 過去にFA権を行使したことがある選手 |
| FA資格 | FA資格を持っている選手 |
| 育成 | 育成選手 |
| 前年の現役ドラフト | 前年の現役ドラフトで獲得した選手 |
| トレード | 現役ドラフト開催年の年度連盟選手権試合終了翌日以降に、選手契約の譲渡で獲得した選手 |
| 育成から支配下 | 現役ドラフト開催年の年度連盟選手権試合終了翌日以降に、育成から支配下契約へ切り替わった選手 |
年俸には例外があり、5,000万円以上1億円未満の選手は1人に限りリストに入れられます。
その選手を入れた球団は、5,000万円未満の選手を2人以上含めて、計3人以上をリストに載せます。この3人以上の決まりは、2023年に加わりました。
2026年はトレード加入選手の対象範囲が拡大
今年の変更点は、トレード等で加入した選手を対象外にする期間が短くなったことです。
従来は、前年のシーズン終了後からトレード等で獲得した選手を、その年の現役ドラフトの候補にできませんでした。2026年は、除外する起点が「開催年の年度連盟選手権試合終了翌日」へ変わりました。
| 加入した時期・方法 | 従来の扱い | 2026年の扱い |
|---|---|---|
| 前年オフから開催年7月31日までの通常のトレード等 | 対象外 | ほかの条件を満たせば候補にできる |
| 前年の現役ドラフト | 対象外 | 引き続き対象外 |
| 開催年の年度連盟選手権試合終了翌日以降の契約譲渡 | 対象外 | 引き続き対象外 |
今年の発表では、新たに候補にできる範囲について、2025年のクライマックスシリーズ終了翌日から2026年7月31日までにトレード移籍した選手と説明されています。
例えば、2026年のシーズン途中に通常のトレードで加入した選手も、ほかの除外条件に当たらなければ、その年12月の候補リストに載せられます。
ただし、2025年の現役ドラフトで加入した選手は、引き続き対象外です。また、対象にできる選手が自動的にリストへ載るわけではなく、実際に提出する選手は球団が選びます。
現役ドラフトの指名順の決め方


1巡目の指名順が決まるのは、会議の当日です。
自球団の選手に集まった獲得希望の数で最初に指名する球団が決まり、その後は選手を指名された球団へ指名権が移ります。
この流れが途切れたときは、最初に決めた仮の順位で次の球団が決まる仕組みです。
1番目は予備指名
予備指名は、本番の指名前に行う手続きです。各球団は他球団のリストから獲得したい選手を1人選び、議長に伝えます。
議長は届いた希望をもとに、暫定指名順位を決めます。本指名の最初の球団や、流れが途切れたときに使う仮の順位です。
上位になるのは、自球団の対象選手に希望が多く集まった球団です。同じ球団の2人以上に分かれた希望は合算します。
たとえばA球団の選手2人に、3球団と2球団から希望が集まれば、A球団の希望数は5です。
希望の数が並んだときは、その年の新人選手選択会議(10月の新人ドラフト)で、2巡目の指名を行った順番に従います。
2番目以降は指名された球団
本指名で最初に指名するのは、暫定指名順位が1位、つまり一番他球団からの希望が多かった選手を提出した球団です。
次の指名権は、1番目の球団に選手を指名された球団へ移ります。以後も、選手を指名された球団が次に指名します。
各球団が指名するのは、予備指名で議長に伝えた選手です。伝えた選手を指名できる場合は、ほかの選手に変えられません。
ただし、伝えた選手がすでに指名されていたら、まだ指名されていない球団の選手から1人を選びます。
1巡目は1球団から1人ずつのため、伝えた選手と同じ球団の別の選手が先に指名されていた場合も同じです。
途切れたら暫定順位
すでに指名を終えた球団の選手が指名されると、指名の流れが途切れます。A球団に選手を指名されたB球団が、A球団の選手を指名した場合などです。
次の指名権は、まだ指名していない球団のうち、暫定指名順位が一番上位の球団に移ります。
1巡目で11番目に指名する球団は、最後に指名する12番目の球団のリストから選手を指名する決まりです。
12番目の球団は、まだ選手を指名されていない球団から1人を選びます。
1巡目のあと2巡目へ進むかどうかは、後述の「2025年に変わった現役ドラフトの2巡目」で確かめてください。
2025年に変わった現役ドラフトの2巡目


現役ドラフトでは、1巡目の指名が終わったあと、続けて2巡目を行うことがあります。
2025年はこの2巡目の規定が見直され、参加するかどうかの伝え方と入札の方法が新しくなりました。
2026年の対象範囲の拡大と2025年の2巡目の運用変更は、別の改正です。今年の指名方法は従来どおりとされています。
参加は3択
2巡目は、1巡目が終わったあとに参加を希望した球団だけで行います。2022年と2023年は、2巡目そのものが実施されませんでした。
2025年の規定では、1巡目が終わると各球団が次の3つから1つを選び、メールで議長に伝えます。
- 参加(指名意思あり)
- 参加(指名意思なし)
- 不参加
議長は各球団の意向を全球団に共有し、参加する球団は他球団の状況を見て意向を伝え直します。
参加球団が確定して入札に移ったあとは、不参加に切り替えられません。
「参加(指名意思なし)」は、2025年に新しく設けられた参加の方法です。他球団の選手は獲得せず、自球団の選手を他球団へ移籍させる目的で加わります。
条件つきの入札
指名意思ありで参加した球団は、獲得したい選手を1人以上挙げ、複数なら獲得希望順を付けて入札します。
入札では「無条件」か「選手数が増減しない場合に限る」のどちらかを選ぶ決まりです。
「無条件」を選んだ球団は、獲得だけ・放出だけ・その両方のどの結果も受け入れます。
「選手数が増減しない場合に限る」を選んだ球団は、獲得と放出が同じ人数になるときだけ指名が成立します。
競合したときは「無条件」の入札が先です。同じ条件どうしなら、1巡目で後から指名した球団ほど優先されます。
2巡目の成立は2024年の1件のみ
2025年の現役ドラフトまでで、2巡目で移籍が決まったのは、2024年の1件だけです。
広島東洋カープは2巡目で、北海道日本ハムファイターズの鈴木健矢投手を指名しました。
1巡目で指名したオリックス・バファローズの山足達也選手と合わせて、2人を獲得しています。
現役ドラフトの開催日と指名後の流れ
現役ドラフトは12月に開かれ、指名の結果はその日のうちに発表されます。
ただし、結果が出た時点では、移籍の手続きはまだ終わっていません。
選手が新しい球団へ正式に移るのは、後日NPBが公示してからです。
2026年は12月9日(水)に開催
2026年の現役ドラフトは、12月9日(水)に開催されます。NPBが10月14日に発表しました。制度開始から5回目の開催です。
開始時刻と結果発表時刻は、2026年10月17日時点で確認できていません。
昨年は12月9日午後1時から、オンライン・非公開で実施されました。今年の時刻については、昨年の実績と分けて確認する必要があります。発表は、NPB公式サイトで確かめてください。
会議はオンラインで行われ、非公開のため指名の様子を見ることはできません。
当日に結果発表
指名の結果は、その日のうちにNPB公式サイトの「現役ドラフト結果」ページで発表されます。NPBの公式Xにも、結果ページのリンクが投稿されます。
結果ページの表に並ぶのは、指名球団・選手名・守備位置・現所属球団の4項目です。
現所属球団は、指名された時点で選手がいた球団です。一覧の並びは、実際の指名順ではありません。
後日に移籍を公示
結果が出たあとは、野球協約の第110条に沿って契約譲渡の手続きが進みます。
受け入れる球団がコミッショナーに承認を申請し、承認されると公示が出ます。対象の選手は契約保留選手なので、公示されるのは保留する球団の変更です。
NPB公式サイトの2025年度公示によると、現役ドラフトの移籍は「トレード」欄に載ります。
1巡目で移籍した選手を探すときは、備考の「現役ドラフトに伴う契約譲渡」を目印にしてください。公示日は、2024年が12月17日、2025年が12月16日でした。
指名された選手が移籍を断れるかどうかは、後述の「現役ドラフトのルールに関するよくある質問」で確かめてください。
移籍先で活躍した現役ドラフトの選手
現役ドラフトで球団を移ったあと、新しいチームで出場機会をつかみ、欠かせない戦力になった選手がいます。
オールスターと交流戦のMVPに選ばれた2人と、最優秀中継ぎ投手のタイトルを手にした1人を紹介します。
細川成也
細川成也選手は、2022年に開かれた第1回の現役ドラフトで、横浜DeNAベイスターズから中日ドラゴンズへ移籍しました。
移籍1年目の2023年は、チームトップの24本塁打を放ちました。
同じ2023年は、監督選抜でオールスター初選出も果たしています。2025年2月14日には、侍ジャパンのトップチームにも選ばれています。
2026年7月29日のオールスター第2戦では、2本塁打を含む3安打3打点でMVPに輝きました。
球宴のMVPに現役ドラフトで移籍した選手が選ばれたのは、細川選手が初めてです。
水谷瞬
水谷瞬選手は、2023年に開かれた第2回の現役ドラフトで、福岡ソフトバンクホークスから日本ハムへ移籍しました。
ソフトバンクに在籍した5年間は、一軍での出場が1度もなかった選手です。
しかし、移籍1年目の2024年は、セ・パ交流戦で打率.438を記録してMVPに選ばれました。この打率は、交流戦の歴代1位の記録です。
28安打と出塁率.471もその年の交流戦でトップで、MVPは満場一致で決まっています。
田中瑛斗
田中瑛斗投手は、2024年に開かれた第3回の現役ドラフトで、日本ハムから読売ジャイアンツへ移籍しました。日本ハムに在籍した7年間で、一軍での登板は10試合にとどまっています。
巨人では中継ぎに定着し、移籍1年目の2025年に62試合で36ホールドを記録しました。
翌年の2026年のレギュラーシーズンは61試合に投げて42ホールド、防御率1.52の成績です。
2026年9月20日のヤクルト戦では、チームが逆転した直後の8回を無失点に抑えました。
この登板で、最優秀中継ぎ投手のタイトルが確定しています。現役ドラフトで移籍した選手がこのタイトルを受賞するのは、初めてです。
現役ドラフトのルールに関するよくある質問
- 指名された選手は移籍を断れますか?
-
本人の希望で断ることはできません。指名された選手の移籍は、元の球団から指名した球団への選手契約の譲渡として扱われます。
プロ野球選手会が公開する統一契約書によると、選手は第21条で、契約が他球団へ譲られることをあらかじめ承諾しています。
指名から移籍が正式に決まるまでの流れは、前述の「後日に移籍を公示」で確かめてください。
- 指名されなかった選手は元の球団に残れますか?
-
残れます。リストに入っていても、指名されなければ現役ドラフトによる移籍は起きません。
元の球団が翌年の契約を結ぶ権利を持つ「保留」の状態も、そのまま続きます。野球協約の第66条と第68条にある決まりです。
リストに入っていたことが公表されない点は、前述の「リストは2人以上」で確かめてください。
- 同じ球団から2人が移籍することはありますか?
-
あります。同じ球団のリストから1巡目と2巡目で1人ずつ指名されれば、2人とも移籍します。
2024年の日本ハムでは、田中投手が1巡目で巨人へ、鈴木投手が2巡目で広島へ移りました。
2巡目への参加方法は、前述の「参加は3択」もあわせて読んでみてください。
- 昨年の現役ドラフトで移籍した選手も、今年の対象になりますか?
-
2025年の現役ドラフトで獲得した選手は、2026年の対象外です。
今年は通常のトレード等による加入選手の対象範囲が広がりましたが、前年の現役ドラフトによる加入選手は、別の除外条件に当たります。
- 新人選手のドラフト会議と同じ日に行われますか?
-
同じ日ではありません。2026年の新人選手選択会議(ドラフト会議)は10月22日に開かれ、現役ドラフトは例年12月に行われます。
新人ドラフトでは高校や大学、社会人、独立リーグなどの選手を指名します。
現役ドラフトの対象は、12球団の契約保留選手名簿に載った支配下選手のうち、条件を満たしてリストに入った選手です。
まとめ:現役ドラフトのルールを知って移籍した選手を球場で応援しよう
本記事のまとめです。
- 各球団は対象外の条件に当てはまらない選手を2人以上リストに載せ、1巡目で1人ずつ獲得して1人ずつ放出する
- 最初に指名する球団は予備指名で決まり、その後は選手を指名された球団が次に指名する
- 2025年から2巡目の規定が変わり、自球団の選手を出すだけの参加もできるようになった
- 2026年は、昨オフから今年7月31日までに通常のトレード等で獲得した選手も、条件を満たせば候補にできる
- 前年の現役ドラフトで獲得した選手は、引き続き対象外
- 2026年の開催日は12月9日(水)
現役ドラフトでは、12球団が対象外の条件に当てはまらない選手を2人以上載せたリストを出し合います。
1巡目で1人ずつ獲得し、1人ずつ放出する仕組みです。最初に指名する球団は予備指名で決まり、その後は選手を指名された球団が次に指名します。
2025年からは、2巡目に指名意思なしで参加する方法も加わりました。
例年12月に開かれ、結果はその日のうちにNPB公式サイトで発表されます。



ルールを知って、新しい球団へ移った選手を球場で応援しましょう!



